エアジェッター処理法とは


排水処理設備・エアジェッター処理法の実績例

エアジェッター処理法のフローシート

エアジェッター

エアジェッター処理法の仕組み

(従来法と対比しながら表示しました)

⑴ エアジェッター処理法とは既設の調整槽にエアジェッターを設置して、汚れ物質としての有機物(BOD等)を酸化処理 する方式です。

⑵ 従来法における調整槽の主な役割は、原水を貯留し、曝気槽に平均的に移送することです。 従って、調整槽においてはBOD等の処理はほとんど行われていません。

エアジェッター処理法においては、調整槽と曝気槽の2箇所でBOD、油分、SSを処理する方式です。

⑷ 活性汚泥法におけるBODの処理、及びSSの処理

(5) 活性汚泥法における「余剰汚泥」の発生源
発生源は、上記の①、②、③です。

  • BODは有機物です。酸化処理されて、CO2(炭酸ガス)、N2(窒素ガス)となって、大気に放散します。H2Oは河川等に放流されます。
  • BODの一部から活性汚泥が誕生します。
    活性汚泥は「酵素」を放出します。
    酵素はBODの酸化処理には不可欠です。
  • 上図をご御覧ください。
    BODをどんどん酸化処理しますと、活性汚泥になるBOD源が減少します。
    それが、エアジェッター処理法の余剰汚泥の発生量が少ない原因の一つとなっています。
  • 近年、「余剰汚泥がほとんど発生しない活性汚泥法」が普及しています。
    方式としては、曝気槽で誕生した活性汚泥を消滅するやり方と、曝気槽で出来るだけ活性汚泥を誕生させない方式に大別されます。
    エアジェッター処理法は後者に入ります。

エアジェッターの機構と効用

空気の自吸

空気の自吸量=0.25m³/分・1台  4台なら→1,440m³/日
既設の調整槽には「調整ブロワー」が設置されています。しかし、曝気風量が少ないのがほとんどです。
エアジェッター4台分の空気量=1,440m³/日は大いに助かります。

高圧の吐出水の効用

イ. 調整槽には
「水に溶けたBODの液体」と、「水に溶けた酸素の液体」が共存しています。

ロ.上記の2種類の液体が
「エアジェッター高圧水」となって吐出する際、「微細化される」ものと想定されます。

ハ.「微細化」されると
曝気槽と沈殿槽において、BODとN-Hexは、ほぼ完全に 「酸化処理」されるものと思われます。
その証拠が、沈殿槽の処理水と思われます。
BOD=5.9mg/l  、N-Hex=2.5mg/l以下

微細気泡の効果

「気泡が微細な程」気泡中の酸素は水に溶け易いので、調整槽の酸素濃度(DO)upに寄与します。

循環ポンプの効用

上記①、②、③の効用は「エアジェッター」と「循環ポンプ」のコラボによる現象と思われます。活性汚泥法においては、「沈降性の良好な活性汚泥の誕生」が切望されています。
循環ポンプは、誕生する活性汚泥の沈降性に影響を与えます。

「水に溶けたBODの液体」と「水に溶けた酸素の液体」が接触して、活性汚泥が誕生します。
接触回数が多い程、誕生する「活性汚泥」の粒子が大きくなるので、沈降性の良好な活性汚泥となります。
〔備考〕この手法は「分析化学」や「結晶工学」の分野で昔から使用されています。

循環ポンプの仕様

動力:1.5Kw 
揚程:19.5mH
揚水量:0.2m³/分・台

現状の循環回数

揚水量=1,152m³/日・4台
調整槽の容量=70m³   
∴ 接触回数=16回/日です。(1,152/70)

まとめ

  • 標題の実績例は、お菓子工場です。エアジェターを稼働開始して4年目に入りました。
    2023年9月も、順調に稼働しています。
  • 処理水の放流先が下水道なので、余剰汚泥は全量下水に放流しています。(下水放流の規制値をクリア)
  • 下水放流とは言え、原水のBOD濃度=3,600mg/lの排水を、加圧浮上槽も無し、脱水機も使用せず処理し、余剰汚泥の産廃費も発生しない方式は、進化した活性汚泥法ではないでしょうか。
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